以前是屋がやった「オリバー・カステロー」を花王おさむ氏がお勤め。思い違いと嘘が、蜘蛛の巣のように人々を絡め取る物語。演出の大谷亮介氏が、翻訳劇特有のしつこい文体を、すっきりさせたせいで、とても心地良い展開で物語が進むが、アガサが仕組んだ仕掛けが余りに込み入っているので、そのスピードの為か、一つ一つを把握するのが大変。稽古場で拝見させてもらった、緊密な印象が、やはり大きな空間では薄まったようにも感じる。しかし、芸達者揃いの舞台の量感は確か。我らがルリ子さんは、翻弄される主人公を、知的で可愛いキャラクターで描いて魅力的!拙が演出した「恋はコメディ」で、ストレートプレイデビューした石井一孝さん、更に演技が安定したようで嬉しい。
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今、俺それで悩んでます。「したい」と「されたい」のギャップ差を感じてるんですよ 。話変わって「CHUJI」。WAKI組の当り狂言で、再演を重ねた成果。中身とエンタテインメントのやり取りが小気味いい。元弥(ご免なさい、表記は旧字です)氏魅力一杯。再演なのに当て書きに見えます。「クニサダチュウジ」偽伝の面白さを、キレイにまとめた構成で、大衆演劇風小劇場の最右翼でしょうね。ヌーベル組総見で、天邪鬼屋と痛飲しました。
「劇団スイセイ・ミュージカル」初見です。「BASARA」で初共演した親戚!森田浩平氏出演。彼の兄順平氏、浩平氏の息子兄弟、親族一同観劇と相成りました。演出作曲、特に一幕目の音楽センス、場面構成のスピーディーさ、諸々最新ブロードウェイテイストなのに、二幕目クライマックスはベタベタ日本人好みで、客席は泣く!泣く!こんな現場があったのか、とビックリ!見た目は確かにチープですが、たっふり感は味わえる(主演旺なつき戈の演技歌唱力諸々、その存在は不可欠!)ので、軽いステップで巡業中心の興行体制も頷けます。終演後、お気に入り「マレーチャン」で快食!
【追伸】出目金魚さん、かよさん、大車輪屋のCF。何の因果か、わたくし社長、放映中に未だ遭遇してません。悔しい~!
WAKI組さんもそうですが、こういう時代劇はもう一つのジャンルなんですね。「陰陽道」が政府の公的機関に当り前に取り入れられていた時代というのは、「闇」が人間の心の中にしか存在しなくなった現代から見ると、随分興味をそそられる。しかし、スピーディで際々な殺陣には驚いた。モリエール、建て直す前の舞台知ってる人って、少ないだろうな。元キャバレーか何かでね、バルコニーのような場所が、確か楽屋だったような気がする。
傑作!

等身大の芝居はディテールが大切だと痛感。会話の一つ一つ、動きの一つ一つ 難しい。マンション取り潰し、由美の結婚、まり子の独立、を以てこのシリーズは完結。大森氏の方言は、広島生まれ育ちの弟(鳴流屋!)も舌をまいたと聞きます。ま、大森氏広島生まれらしいのですが、誕生直後に上京、方言を話さないご両親に育てられたとの事。胎内で学習していたのか!?耳がいいんでしょうね。ロバ君とは真逆の静かな芝居をした伊予屋。あのほんわかさは絶品だね。フォアグラの前菜 。随分以前、超高級フレンチをゴチになった時、フォアグラとトリュフが幾枚も重なった究極(この二品は相性がいいのだそうだ)の前菜を食った。きっともう二度と食べられまい。美味かった 。
那河岸屋ライフワークの日本舞踊修業途中経過拝見。こちらのお稽古場は、清恵先生の大方針でごまかしのない爽やかな「おさらい会」なので、いつも気持ちいい。那河岸屋ここ暫くの苦労の成果、常磐津「駕屋(かごや)」。忠臣蔵十一段をパロディにした十一変化の六段目部分だそうで、お軽を連れ去る駕籠屋を主人公にしたというもので、そいつの弁当を盗んだ犬(池原祐子さん好演!)と絡むという洒落た作品。そう言えば「道行旅路の花聟」も元来パロディ作品だったものが、余りの人気で本家に昇格したのです。舞踊の世界にはほとんど足を踏み入れていないので、歌舞伎一辺倒の俺には大変珍しい逸品。2006年の夏に、三津五郎戈が歌舞伎座で踊っている。この時は、わかぎ氏作・演出「たのきゅう」目当てだったので、「駕屋」は未見。大和屋さんは、息杖の件は首抜きの浴衣を脱いで、赤縮緬の下帯オンリーで踊っている。体の線がモロ見えなんで、余程自身がないと 。那河岸屋、手の込んだ振りの数々に大健闘!風俗舞踊らしい柔らか味が欲しいが、これは追々でしょう。先ずは骨格から!という、清恵先生の教え通りに育っているようで、彼への信頼度も高いとのこと。那河岸屋さん、お次はな~に?おっと、ベゴニア楽しみッス!

