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三枚花弁の「けぶるゆうぞら」という江戸系品種。骨董商殺人事件の真相を、三種の骨董(壺・刀・絵)に証言させる盲目の弟子。そして、彼は骨董達に復讐されるという結末。
先ず器物の妖怪図絵(百鬼徒然袋)を思い出した。手紙、冠、靴、傘、槍、琴、木魚、面、鈴etc.所謂「付喪神(つくもがみ)」で、年を経た(百年、「九十九神(つくもがみ)」とも)道具に精霊が憑りついて人をたぶらかす。

作者は「羅生門」のイメージもあったという。平櫛田中氏の邸宅は趣きがあるが、如何せんアトリエは実用本位だから、ちと殺風景なのは致し方ないが、ここで22年の歳月を掛け、あの「鏡獅子」が製作されたと思うと、感慨深い。

いつも以上に緊密な演技と演出が圧巻。後半、趣向が立ち過ぎるのが気になるけれど、物語の展開が痛快なので、集中は切れなかった。丸刈りの吉田能君が、アクを抜き去った海老蔵のようで見惚れた。

奇想の前提/鵺的

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稽古三昧で、一切の事前情報を確認出来ず拝見。不快感満載の効果音で幕が明くので、てっきり超社会派な舞台と身構えていたら、物語がぐんぐん耽美な方向へ広がり、後半はあれよ、あれよ、なスピードで南海トラフが痙攣し、事件の首謀者は花火と共に空高く飛び、肉片と散った。

作・演出、制作、女優、三人のみユニットなのに、キャストとスタッフがちゃんと独特な世界を共有出来ている。幾分映像的に過ぎるのが、演劇の虚構を好む自分としては残念ではあるけれど、この設定でじっくり室内劇が見たくはなった。

西瓜糖「鉄瓶」にて、僕の弟役でご一緒した寺十吾氏は、視覚も聴覚も、これでもか!という高濃度な演出をなさるんですねえ。

お目当てだった、元「曲屋(まがりや)」さん(佐藤誓)は、クライマックスの長台詞が、流石の説得力である。

中野通の同伴者(押田健史)のお陰で、いい店(Agalicoタラート オリエンタルビストロ)で痛飲出来た。

同じ原作を取り上げた経験がある(2008年)という事でか、アフタートークにお招き頂き、勿論舞台も拝見させて頂いた。

時代物を洋服で演じるというだけでなく、大胆で繊細、シンプルなのに濃厚な空間、音響もリッチでスマートで、何と言うか、とっても洗練されたヨーロパ演劇を見た印象を受けた。

原文そのままの台詞を使いながら、適度なカット(良石和尚、馬子久蔵、孝助母おりえ)で、地獄に落ちた萩原新三郎の見る世界に集約されていて、目から鱗であった。

終演後、プロデューサー綿貫さんが設けてくれた飲み会で、山本亨さん、青山勝さん、松本紀保さん、らと、花組版「伴蔵」を演じた那河岸屋(なにがしや=小林大介)を伴い、楽しいひと時が過ごせた。有難うございました!

この野外劇シリーズ始まって以来の、大入り記録だったそうだ。西瓜糖、恐るべし!

作者(秋之桜子)が同じだからか、花組芝居に書き下ろして頂いた「夢邪想(2014年)」に、少し雰囲気が似ているが、天明大飢饉を引き起こした(他の原因もあるらしい)浅間山大噴火が、ドラマのクライマックス(大掛かりな屋体崩し)であり、花組芝居の湿潤なイメージと違い、随分健康的な猥雑さに溢れているのが、椿組のカラー。

泣き笑い満載、泥臭い祝祭感、そして漂う哀愁、椿組花園神社野外劇の定番要素を余す事なく演出した松本祐子氏の、腕っ節の強さ!適材適所でフル稼働した出演陣!来夏、演出(天守物語)をさせて頂く事になっている自分は、既に逃げ出したい気分である(苦笑)。

イヌの仇討/こまつ座

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書き直したいとお蔵入りしたまま、作者が旅立ってしまったと聞く。

赤穂事件の本質が、ご政道批判だった、というのは、初演の前、1984年に、丸谷才一が「忠臣蔵とは何か」で、御霊信仰から綱吉呪詛に到る流れをつぶさに述べていて、実に興味深いものがあった。

公家かぶれの大名、剣豪の家来(咲酒屋が珍しい役を勤める)、茶坊主、側女、女中頭、腰元、盗人、それぞれの立場から見た事件像が交錯し、最後に真相に辿り着く。歌舞伎役者なら、身分違いを肉体や声音で表現出来たであろう。演じ分けタイプの落語からも、ヒントになるかな。

深更から夜明けまで限られた時間内、喧々諤々の議論なので、例の「朝まで生テレビ!」と重なって面白い。

幕切れ、雪の降り方がアングラ好みで、演出家らしい。

ざらば/新宿公社

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或る一族の呪われた因縁話が、60年も尾を引いてるって物語(大雑把過ぎ)。

「幣園」しでぞの、と読ますか~。そして結末(個人的には判り難かった)と関わるのだが、主人公「木崎誠」の木。名前と役割を一致させた馬琴程に露骨ではないけど、作家って、この手の苦労って楽しいんだよね。

時空を細切れに行き来する構成が、煙に巻くってのか、スピード感がある。逆に、一度じっくり密室劇みたいの書いてみたら?ヒロ君なら出来そうに思うんだけど。

Twitterにもあったけど、3回目にして、随分、本&演出のレベルが上がった。良きかな、良きかな。

大車輪屋(とばしや=秋葉陽司)は安定路線。前回「凱旋」は感じなかったが、谷恭輔君は、ある意味ヒロ君の分身なんだね。

様々な要因なんだが、いつ以来だろう、歌舞伎座!

六代目歌右衛門が、「ビルの中に入っちゃう歌舞伎座なんてイヤ」と言い残し、果たして驚くほど先代そのままに蘇った「歌舞伎座」。正面車寄せの威容を引き立てる為に、奥へ引っ込んでそびえる、キレイな格子柄の高層ビルを見上げる度に、良く考えたもんだなア、と感嘆しきり。

こけら落しに来た時は、居心地が悪かったロビーも、空気が落ち着いている。建物って人間の思いがしみ込んで育つもんだな。

「鎌倉三代記」
昨年末「桐一葉」に取り組んだからか、物語に近しくなった。古典歌舞伎は、矢張り役者の肉体を見るもんだな、と再確認。

「曽我綉俠御所染」
両花道使用。東の仮花道分の入場料金が減るというので、野崎村や鞘当などは、ごまかす場合が多いが、芝居が立体的になるからいいもんだ。

「一本刀土俵入」
「大悪名」の劇中劇でチラリとお蔦を演じたが、それに際し、十七代目勘三郎&六代目歌右衛門、二代目吉右衛門&四代目雀右衛門、2バージョンの記録映像を見ているので、興味津々。他に、本で読んだ前進座の工夫、息を吹き返した儀十の子分を睨み付ける、島田正吾の「軒の山桜」幕切れ、先人達が競って工夫した作品。

一緒に見た自由治屋(ふりいじや=押田健史)は、(新歌舞伎より)古典の方が面白い、と。昔は僕もそうだったが、今は、照明の溶暗や、柝なしの幕の開け閉め、など、逆に古風に感じるのは変なもんだ。

昨年、演劇賞の栄誉に輝いた、野木萌葱氏(パラドックス定数)と和田憲明氏のコンビ再び!

奇々怪々な未解決事件を、良くぞあそこまで想像を膨らませられるものだ。世の中を弄ぶ、手が回るかも知れないギリギリ感に、打ち震える4人のおっさん。超リアルな装置や、効果音の細かさは、いつも通り。相変わらず緊密な演出!

以前から和田演出に出たい、と懇望していた那河岸屋(なにがしや=小林大介)は、上手くハマっていた。それでも、強烈な和田式稽古には、驚いたようだ。

俳優は、幾つになっても、自分を見つめ直させてくれる刺激が必要、外的であれ、内的であれ。「一生勉強」なんて言葉、優等生っぽくて嫌なんだけど、実は本当なんだよね…。

気弱な会社役員を演じた石田佳央君、自由治屋(ふりいじや=押田健史)とはサッカー仲間とか。那河岸屋とも気が合うらしい。終演後の飲み会、珍しく硬軟交えた話で、盛り上がる。

黒蜥蜴/三越劇場

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幕開きに永島敏行氏演じる片桐警部(原作には出て来ない)が、客席に向かいざっくばらりと語り出す。堅物らしさに愛嬌が加わり、小さな空間での商業演劇としてはいい具合。

妖艶な河合雪之丞丈の緑川夫人、初登場からサッパリ古風な二枚目の喜多村緑郎丈。新派ベテラン、伊藤みどり丈、田口守丈らが、揺るぎない演技で、大きく振り動く芝居の、ホッとするような新派の基点を示し、一方、大人のジャンルを知り尽くした斎藤雅文氏が仕組んだ、新派の歴史総まくり風テンコ盛りプランに、フル稼働する新派のフレッシュ陣!

映画以外、それなりに歴史を持った、演劇の他ジャンルへの移籍は、その昔、十四世守田勘弥が新国劇入りを考えたくらいじゃないかしら?梨園から飛び込んだ二人のスターによって、昔、歌舞伎劇も翻訳劇も同レベルで演じていた新派が、改めて再生するキッカケになるかも知れない。

黒蜥蜴を、現「新派」へ引き寄せ、独自の世界を作り出した斎藤氏の才覚に敬意を示したい。12月に、30周年記念として「黒蜥蜴」の上演を企図する花組芝居。気負っていた肩が、幾分楽になった気がします。有難うございました。

一寸法師を演じていた喜多村一郎丈(半面隈取のチャイナ服。本公演の立師で立ち回りでも大活躍)、元は市川猿琉と名乗る澤瀉屋の一員で、自由治屋(ふりいじや=押田健史)にトンボを教えた師匠だったとは!?

2回の休憩、6時間に及ぶ全通し。まんまと言えばまんまなのだが、随所にキノカブらしい判断があり、興味深かった。演出の杉原君が、歌舞伎ドップリでない人なのがいいのだろう。

圧巻は、三幕目、三角屋敷と小塩田又之丞隠れ家の、繰り返される「行って来い」!こんなに泣けるとは思わなかった。ズッコケなご都合主義や、歌舞伎口調のハラハラ感など、異化効果というか、覚めた目が利いている。

てがみ座「燦々」で共演した箱田暁史君が、青年「直助権兵衛」を好演!「俺、何して来たんだろう~ッ!」が悲痛で堪らんかった。この際、五代目幸四郎のイメージなんか、どうでも宜しい。資料で見たのが三代目猿之助(現二代目猿翁、実は直助当たり役でした)だったとは、ハコちゃんの証言。ああ、それで、あのセリフの引っ張りなのね。

客席に藤間宗家がいらしたな。

段差の多い美術なので、これ以上怪我のないよう千穐楽を迎えられますように。

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