霓裳羽衣(げいしょううい)/あやめ十八番

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「贋作女形劇」だという。武智鉄二は「(表現者は)嘘をどこまで本当で埋めかえすかという事で、そして嘘と本当が一緒になった時が、死ぬ時だろうと僕は思いますね」と言っていた。

美少年を愛でるという原初的な女形美から始まり、男の肉体で如何に「女」というものを表現するかに、先人達は苦心した。

能は、仮面と装束を通して、幻のように「女」を出現させる。歌舞伎は、一旦女になってみるという所から、やがて、そこから突き抜けようとする。

パンフで対談した様子からすると、水郷屋(みさとや=堀越涼)が目指した「力強さ」の先達としては、鈴木忠志氏の鈴木メソッドが浮かんだ。能の影響を受けているんで、低い、地を這うようなテンションを持った鈴木メソッドだと、男とか女とか関係なくなっちゃう。

野獣のような女形、中性的な女形、この両極は昨今どこにでもある。なよやかさを禁じた上で、その中間を表現するのは、矢張り難しそうだ…。

何れにもせよ、美輪明宏氏や池畑慎之介氏のような、稀有な天才はともかく、演劇という枠の中で女形表現を追求するには、独自の「様式」が必要なのかも知れない。


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