2015年10月アーカイブ

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川村氏の作品を久し振りに拝見した。

次々変容する舞台だった。

ダークで硬質なチラシのイメージ通り、重低音(定番)の効果音で開幕するのだが、作者が仕掛けたカラクリに、登場人物が絡め取られて行き始めると、何やらメルヘンなムードが漂い出し、最後は時空を越えた冒険活劇になる辺り、往年の小劇場演劇が思い起こされた。

人物名がカタカナなのに、原稿用紙は縦書き。明らかに日本を思わせる件があるが、演技とビジュアルは翻訳劇風。ここらが「とある国」という事なのだろう。思い切って、全編「ルパン三世」タッチに仕上げたら、愉快かも知れない。

3世代に渡る俳優陣の分厚さよ。堀越君については、もう本人に言ったんで、ここでは(微笑)。そう言えば、「淡仙女」で僕はドラマ・ドクターしてたな。

花組芝居っぽいというネット上の感想を知り、こりゃ見ざるを得ないと、一切予備知識無しの状態で演舞場へ。

同伴したオッシー(押田健史、現在花組芝居研修中)に「どんな話?」「海賊達が宝物を求めて冒険する物語、と思えば良いです」お互い大雑把過ぎ(苦笑)!

どうしても避けて通れない背景説明が殆どの第一幕に続く、第二幕が何と言っても白眉だな。先代譲りの本水&宙乗りが効果的に挿入され、特に劇場内が一体化する、大きな鯨が泳ぐ中、サーフィンで客席上を斜め横断する宙乗り、しかも主題歌大合唱という件は、手放しで興奮した。浮遊する鯨がともかくデカかった。

第三幕は大立ち回りが見せ場。大長編を収める為に、幕切れまでがたっぷりなのは、色んな絡みがあるのであろう。

歌舞伎コスチュームをまとった原画キャラクターが覗く定式幕(上下開閉だか…)が秀逸。ニューカマーランドのオカマ達の中に、矢絣メイド(2008年「怪談牡丹燈籠」で登場させた)が居たのに驚いていたら、終幕、勢揃いした海兵の衣裳が、殆ど「泉鏡花の天守物語(2000年)」の討手の武士達と極似で、再び「おおッ!」白ひげ団、時政(盛綱陣屋)と知盛(大物浦)を合体させた白ひげを始め、手下の衣裳デザインがパンク歌舞伎で抜群!

福士誠治さん、浅野和之氏(イワンコフで「夢の遊眠社」芝居が見られるとは思わなかった)、井之上チャル君、など、梨園外の俳優が交じり、一方梨園チームにも、歌舞伎味の濃淡の差があるのを見ると、「身体」という事を考えさせられる。特に、洋装に関してノウハウの皆無な歌舞伎女形の難しさ。また、ルフィとエースの愁嘆で、様式演技とナチュラル演技のアナクロ状態に唖然とした。二代目左團次が編み出した新歌舞伎の台詞術以降、現代語では、矢張り新劇系に軍配が上がると言う事か…。


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坂東巳之助君が大活躍してると思ったら、ロビーでお母様の寿ひずるさんに遭遇。結局、出演の市瀬秀和君(左端。クザンのワイヤーアクション、カッコ良かった)も交え、ワイワイ飲んでしまったとさ。

ラブ☆ガチャ2。/茶柱日和

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5年前演出した「精霊流し」に出演して頂いたみっちょん(芳本美代子嬢)が、脚色・構成・演出、言わば責任公演に田仁屋(たにや=谷山知宏)が呼ばれました。

ラブコメディのオムニバス(7本)で、配役を変え、その都度微妙に書き替えて再演を重ねている作品群らしい。

中でも「ミラクルCHANGE!」が良かった。ひょんな事で父娘の中身が入れ替わてしまい、訪れた婚約者とのドタバタやり取りの内に、お互いの内面を知り和解するという話が、荒唐無稽な設定を使い、ちゃんと人間ドラマになっているのが巧み。娘と婚約者が入れ替わる、おまけ的なラストがらしい。

谷やん出演の「サイクル」、前回は複数でギアを演じ分けた趣向を、谷山一人に背負わせるという、田仁屋にとっては又とない挑戦で、彼も良く応えている。身体が効くから、変わり目が鮮やか。

で、終演後の飲みでは、谷やんの大いなる課題を議論。そう、俺の課題でもあるね…。

煙草モウモウの電気屋の詰め所が舞台。殆ど無害な製品を吸うとは言え、駄目なお客様へはマスクを配る気遣い。

二つの三角関係が泥試合をするのが、物語の中心なのだけれど、何ともホンワカな気分で帰れるのは、全編宮崎弁という耳に心地良い効果と共に、作・演出、松本哲也君の持ち味でもあろう。

10人の出演者全てが活き活きと会話する様子が素晴らしい。いいお顔触れである。

瓜生君の硬質な芝居を始めて見たような気がする。秋之桜子ならぬ山像かおり嬢が、ちゃんとお母さんに見える。そう言えば、彼女の舞台初見が、喪服着た漫画のようなオバちゃんだった。

起承転結の、転と結の間が少し長く感じるが、兎も角、密度の濃い舞台で、最近の松本君の快進撃が納得させられる。

昨年「Lenz」で共演し、以来、交流のある生津(きづ)君が、自らの書下ろしで一人芝居!一年ちょいの付き合いでは、物静かな印象があったのだが、こんなバイタリティをお持ちとは!?

狒々神に翻弄される無宿人のお話。出身地に伝わる伝説をモチーフにしているようだ。

バタ臭い顔と、贅肉がなく多少毛深い身体(下帯に、女物の黒留袖を引っ掛けただけのコスチューム)が、役に相応しく、しかも生津君本人の愛敬が加わり、こそ泥なにの好感が持てるという不思議。

物語本編と、語り(客席への話し掛けも含め)と、切り替えが巧妙で良い。

驚いたのは、思い付いたように、演奏するクラシツクギターが本格的!只の無頼漢が急にダンディに見えちゃうのも心憎い。

こういう企画は大変だろうが、ライフワークのように続けて欲しいと思う。

心中天の網島/木ノ下歌舞伎

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眩しい照明の中、のっけからメロディ的には長閑な歌曲。「そんなことしちゃったら良くないよ そんなことしちゃったら神様に怒られる」実は心中批判である。「天網恢恢」と「網島」とを掛けた近松がタイトルに込めたテーマを、平易な文と平易なメロディで主張する。

現行大歌舞伎では、近松後に芝居っぽくアレンジされた戯曲が、都合良くいいとこ取りになっているそうな。

原文の件に、創作も含めた現代語の件が、随所に入って来て、或るテンポ感を生み出している。

原文の件の方が、実感があるという発見が、大近松の身上だね。「弥陀の利剣とグッと刺され、引き据えても伸び上がり、七転八倒」「なり瓢箪、風に揺らるる如くにて、次第に絶ゆる呼吸の道」原文通りの断末魔!結構でした。

しかし木ノ下君は果敢だ。今度、様式と身体、なんてテーマで話がしたな。

博多三昧

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DSC_0014 (2) - コピー.JPG 商業演劇との関わりは、2008年に「恋はコメディ」を演出して以来無かったので、G2氏からお話を頂いた時は嬉しかった。しかも女形一役というのも、外部ではなかなか少なく、又、遠ざかっていたので、立てると思っていなかった、名高き「博多座」の檜を踏めるというのも、テンションを上げるには充分。


 「商業演劇」も時代の流れで、往年とは様変わりをしていて、所謂、大スター歌手が座頭で、一部がお芝居、二部がショー、という形式は、昨今極めて珍しくなっている。


DSC_0006(4) - コピー.JPG 大正時代なので丸髷に、松の小紋着に、葡萄を金で織り込んだ帯。博多座の緞帳も古風な葡萄の唐草なのは偶然か…。僭越ながら、二代目英太郎丈を念頭に置いたが、どうもすると、身体の使い方が、大成駒をイメージしてしまうのは、幼児の頃の刷り込みの恐ろしさよ。


 早拵えした、葡萄地に、フラフラと揺れたような大柄な立涌(?)の着付けは、反物から仕立て貰った。どちらも、女将という立場なので、襟の出し方をいつもと変えてみた。
 一人女形という効果に関しては、絡みの多かった西岡徳馬氏から色々意見を頂き、結果、いい塩梅だったのではないだろうか(手前味噌)。


 何より博多弁の微妙さには、地元所縁でない出演者は一同閉口…。「和宮様御留」で京訛りに苦労した経験が、幾らか役立ったらしく、地元「山笠(やま)のぼせ」の兄さんから、完璧!というお墨付きを頂戴した。


 「ショーの方も色々考えていてね」第二部の構成・演出も勤めるG2氏のつぶやきが、ドキドキのタネだったが、後ろでちょっと踊るくらいに考えていた。まさか、西岡氏、岡本君、由美子ちゃん、と一緒とは言え、石川さゆり嬢と歌い、名曲「津軽海峡冬景色」の曲紹介までする事になるとは!


1443417928342 - コピー.jpg ついこの間、数十年振りに再会した、大学同期「二橋(ふたはし)康浩」君と共演出来たのも驚いた。再会したキッカケも、今年始め、同じく博多座製作3月公演「めんたいぴりり」出演の為、久し振りに上京(稽古は東京)しているというので集まった、日芸OB会だった。それから直ぐにこの企画!


DSC_0006 (11) - コピー.JPG もつ鍋、ラーメン(小倉よりアッサリ)、海が近いからか魚介が美味い!名物「ゴマサバ」は、入る店にメニューがあれば、必ずオーダーした。店毎の個性が楽しかった、「虫に気を付けろ」とは言われたけど…。


 そうそう他にも、共演の福永大剛君(地元で活動。毎年博多座に立つが、今年は既に三回目!)のご贔屓様が、熟成肉のステーキをご馳走して下さった。


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 博多座芦塚社長のご好意で料亭「嵯峨野」で、ミシュラン三ツ星の味も堪能した。招かれた博多券番(「券」の字を使うのは珍しい)の芸妓さん達、数を減らし、置屋もなくなり、全員が自前で座敷に出るといい、芸妓を呼ぶに相応しいその座敷も5軒止まりという状況だが、皆一生懸命にお仕事している。
 左から、地方はベテラン美恵子姐さん、立ち方の桜子さん、梅香さん、和可奈さん。


DSC_0016 (3).JPG 未だ研修生の身だが、出演しながら(魚屋と、踊れるというので、G2氏がショーのバックダンサーに採用)付き人も兼ねてくれた、オッシー事、押田健史(12月「毛皮のマリー」で入座披露)は、飲み歩きの達人で、夜の中州近辺を徘徊して、色んな店を見付けて来ていた。


 常に笑顔が嬉しく、ともかくバイタリティの塊、石川さゆり嬢、愛すべき先輩西岡徳馬氏、何かと心遣いが有難い岡本健一君、マイペース姉さん高橋由美子ちゃん、その他、書き出すとキリがない共演者の皆様、博多座制作陣各位、頼もしきスタッフの面々様、本当にお世話になりました。


 そして、東京をはじめ、各地からわざわざお越し頂いたご贔屓様、友人の皆さま。有難うございました。何か色~んな事を書き落としているような気がするが、ここらで筆を置きます、イヤ、Enterキーを押し終いします、では。

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