八宝菜in韓国[つぶやき]
(08/06/18 20:36) by webmaster


日々、「料理」に励んでいるであろう先輩、後輩。
頑張って貰いたいと願いを込めて、私は再び8年前の韓国へ飛んで行く・・・

「制作担当」と言う名のもとに、「トイレ掃除」「遅刻した役者を起こしに行く」「生活、撮影用品の管理」「様々なスターの付き人」「三歩以上は走る」等々 バリエーション豊かな日給5000ウォン(300円)のバイト?の日々・・・
唯一、心が癒されるのは、ホテルの部屋よりも「紫テント内特設厨房」であった。
地元の業者さんによる「何も、ここまでせんでも・・・」本格的な厨房である。
撮影準備期間から撮影初旬は、地元の食堂から料理人を雇って、毎日韓国料理を作ってもらっていた。
毎日毎日朝から晩まで本格的な韓国料理。
さすがに辛くなって来た。
そこで監督の一言「ハンバーグが食べたい」
しかしながら、「そんなものは作れない」クビを切られた料理人・・・
「食」に関して切迫していた「映画クルー」当時レストランに就職していた、元梁山泊の座員を日本から呼び出し、飲食のバイトを経験していたしゃくれと共に「100人前の食事担当」となったのである。

ある時監督から
「八宝菜が食べたい」
とのリクエスト。
「涙のリクエスト」
我ら「食事班」は食材を求め「韓国のクイーンズ伊勢丹」である「Eマート」へ車を走らせた・・・
豚バラ、海老、いか、うずらの卵、白菜、人参、キクラゲ、椎茸、塩、胡椒、醤油、中華味・・・
さすが「韓国のクイーンズ伊勢丹」何でもあるがな。
我ら「食事班」は「紫食堂」で、翌日の「八宝菜」の下準備を終えると、静かに「地獄の撮影現場」に向かった・・・

さて、翌日である。
早朝5時より朝食準備。
「八宝菜」の食材と共に買い揃えた、食パン、クロワッサン、フランスパン。
前日の残りのご飯で作った「朝がゆ」、ゆで卵、サラダ、ポタージュ、味噌汁・・・
役者を志した当初から遥かにエネルギーの使い所を間違っている。
「何をしとんねん俺」
狂い始めた人生設計に不安を覚えながらも、
「美味しいよ」
「うめえ・・・」
「これで頑張れる」
の言葉に励まされていたもんだ・・・

朝食の片付けを終え、いよいよ昼飯の「八宝菜」に取り掛かる。
何しろ「100人前」えらいこっちゃである。豚バラ、魚介を中華鍋で炒め、ズンドウ鍋へ。
これを数回繰り返し、野菜達も同じ様に。
水を入れて、我が人生一生分の中華味、塩、胡椒、醤油を。
煮込む事30分。
味を見てみる・・・
「俺達、天才だな」
旨い、旨いと食う奴らの姿が目に浮かぶ。
「さて、仕上げっか」
トロミをつけようとしたとたん
「シュワワワワー!!!!」
「八宝菜」から大量の泡が吹き出した!
「ぬおぉぉぉー!!」
絶叫の「紫食堂」・・・
「片栗粉」と思いこんで購入した物は、あろう事か「ジュウソウ」であった・・・
「ヤバイ、殺される」
殺されるわけは無い。
しかし、テンパった我らは「Eマート」に車を飛ばす。
「カタクリ、トロミ、トローリ、中華、中華!!」
店員さんに全て身振りと日本語で詰め寄る。
「殺される・・・」
その、気迫が伝わったのかは解らないが、どうにか「片栗粉」を手に入れた・・・
「旨めーな!」
「こんなん食べれるとは思わんかったわ」
「有り難う、〇〇さん、イソップ!」
・・・「ジュウソウ」の「苦味」を誤魔化す為に「食事班」が寿命を一週間縮めた事は、誰も知らない事実である・・・


次回「肉豆腐in韓国」御期待下さい。


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