あらすじ

 

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「ね、この庭見て。どこか可笑しくない?」

「いいのよ、何もかも上手く行くわ」

「ここでバラが育つわけないじゃない。夏は35度になる日だってあるのよ」

「ああ、いいんだよ。君は正しい。いつも本当に正しいよ!」

「え? どういうこと? 庭に花を咲かせたらいいだけの話でしょ?」

「お前は本当に野菜みたいな女だな」

「あんたって、可哀そうな人。
いくらイギリスのガーデンに憧れたって、
しょせんは庭なの。箱庭なんだってば」

「これからはそんな人だって思うことにする。ウエストで左右される人なんだって」

「冷蔵庫いっぱいの花はなんだ?」

「食べ物なんかないわよ! 花しかないの」

「いいとも。それを食うよ!」

「ああ、なんて素敵な眺めかしら。百年待っても、お目にかかれない眺めよ」

「ね、わりといいんじゃない?」


4人の女。
4人の男の…会話、会話、会話。
役者の数は…4人だけ?

花に似る。花と咲け。花も揺れ。
どこかの庭。どこかの迷宮。
『ワンダーガーデン』の不可思議な交錯。




始まりは明治45年。東京、目黒区碑文谷にある見事な庭のある洋館に住んでいる相川千草、薫子、葉月の三姉妹。長女の千草は25歳。近く海軍士官、杉山孝明との結婚が決まっている。その杉山の妹である桜が相川家に挨拶にやってきた日、彼女たちは変則四姉妹になり、その後の運命を共にしていくことになる。
それぞれの恋愛、考え方、生き方は違っても、節目には必ず家の庭に戻ってくることになる4人。
これは不思議な縁で結ばれた彼女たちの20年間の物語。