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KANADEHON 忠臣蔵


これはただ事でない!!
ネオかぶきが贈る、忠臣蔵全段通し公演!!
「忠臣蔵」といえば、年末の大型スペシャルドラマのイメージがあります通り、なんと言っても壮大にして長大なお話です。実際の史実を紐解くと、「殿中でござる!」の、あの有名な刃傷事件から討入に至るまでには、実に一年十ヶ月もの月日が流れているのです。
歌舞伎で上演するにしても、半日かけても「全段通し」は不可能という代物。
花組芝居では、なんとそれを二時間半でやってのけようという無謀にして贅沢な企画!!

もちろん、ただ無謀な事を、悪戯にやってみようというのではありません。
脚本は、市川猿之助丈のスーパー歌舞伎でもその力を発揮してきた石川耕士氏に、テンポを重視した現代演劇の手法を使い、なおかつ古典にこだわりぬいた形で書き下ろしていただきました。
単なるダイジェスト版に留まらない作品が、石川耕士×加納幸和の強力タッグがあってこそ、今ここに誕生するのです!!

侮る無かれ“仮名手本忠臣蔵”
   〜究極の不条理群像劇の真実〜
知っているようでよく知らない、実はそれが「忠臣蔵」だったりします。まして、「仮名手本忠臣蔵」は、江戸時代に起きた実際の事件をもとに、時を足利の太平記に移して描かれたフィクションであり、元は人形浄瑠璃の演目です。そのため、オリジナルの登場人物、エピソードもたくさんあり、知られざる人間ドラマが満載です。
登場人物は四十七士だけにあらず。家族に恋人、他家の家臣に及ぶまで、そこに描かれる人々は、皆抗いがたい運命に翻弄されながらも、それぞれに確かな輝きを持って生きています。
誰一人軽んじることのできない、心と命。
刃傷から仇討ち本懐という爽快感のみに留まらない、深みと美しさ。
不条理群像劇の極みをご覧いただきます!


花組芝居が挑む事の意味
歌舞伎が根源的に持つ、楽しさ、華やかさ、妖しさを現代の精神と肉体で表現する“ネオかぶき”という新たなジャンルを作り上げてきた当劇団。形式や伝統に敢えてがんじがらめになり、そこから逸脱・破壊・脱皮することこそが原点。今回は「忠臣蔵」という王道に真っ向から対峙する心構え。本物の歌舞伎以上のリアリティをもって、壮大な物語を描きます。先人たちが積み上げてきた古典芸能の奥深さ、魅力を過去のみのものとせず、現代においても楽しむために、ステレオタイプの古典の再現ではない、新たな「忠臣蔵」をご覧ください!!
我々自身が、過去の“ネオかぶき”を凌駕する。
20周年を越えて、更なる演劇のかたち=“花組様式”を求め、飛躍を確信する舞台に、皆様是非お立会いください!!


物語
塩冶判官(浅野内匠頭)が高師直(吉良上野介)の恥辱に耐えかねて、城中で師直に斬りつける。判官は事件の責任をとり切腹させられ、お家断絶。国家老の大星由良之助(大石内蔵助)をはじめとする四十数名の家臣たちが、艱難辛苦の末、高家に討ち入りを果たしてついに本懐を遂げる。
史実の「元禄赤穂事件」をベースに、太平記の世界に当てはめた十一段構成の丸本歌舞伎の代表的な傑作である。


見所の数々
■美術
 静かに、儚く飛び立つアゲハチョウをモチーフに構成される抽象舞台では、
 スピーディに物語が進み、人々の心の流れを淀みなく描きます。
 華やかでありながら、それだけに留まらない奥行きを感じさせる空間が作られます。

■音楽  
 今回は義太夫三味線の鶴澤津賀寿さんと、アフリカンミュージックとのコラボレーション!
 日本とアフリカ、両民族の血に眠る、熱いビートが織り成す独特のグルーヴ。
 登場人物の熱い思いを彩ります。

■衣裳
 長い年月をかけて洗練されていった「忠臣蔵」の定式衣裳。
 オリジナルデザインの評判も高い花組芝居の衣裳ですが、今回は敢えて本物を揃えます!
 人物像を象徴する贅沢なユニフォームを、鮮やかに着こなします。

■役者
 劇団として20年。培ってきた実力、信頼感は伊達じゃありません。
 若手の台頭も著しい今日この頃、顔見世興行としてもうってつけの「KANADEHON 忠臣蔵」。
 役を通して生きる彼らの、ただならぬエネルギーを感じてください!!


二十年前の夢 加納幸和
脚本をお願いした石川耕士氏とは、八十年代、劇団「ちかまつ芝居」で腕(筆)を振るっていらした以来のお付き合い。当時マスコミで「ニュー歌舞伎」と言われ、歌舞伎に感化されながら、表層的な捉え方ばかりの小劇団が多い中、唯一意識した「ちかまつ芝居」。大近松の本文を読み込み、思いっ切り飛躍する軽やかさ。暗闇の争いで、人物達が口うるさく騒ぐ中、一言「おだんまり!」。ほとんど上演されない、「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」の初段、花(いくさ)の件を面白おかしく見せたり、もう驚くばかり。男女混成で和服を着ないという点からも、花組とは歌舞伎へのスタンスが大きく違い、これならお互い刺激し合って共存共栄が出来る!と期待しましたが、残念な事に、まもなく「ちかまつ芝居」は「MODE」と名を変え、新劇化してしまいました。

石川氏はその後、市川猿之助丈の(もと)へ呼ばれ、「スーパー歌舞伎」や、古典復活の現場を支える重要なお仕事(脚本の補綴、演出助手)を続けてらっしゃいます。最近では、多くの商業演劇、劇団若獅子など、歌舞伎以外の場でも活躍(脚本、演出)されています。

いつか御一緒したい!石川氏も長年、本場で「歌舞伎」という怪物と対峙して様々な経験を積まれました。我々も二十年、「歌舞伎」と格闘しつつ、どうにか世の流れを掻(か)い潜って参りました。満を持しての共同作業に、小躍りして居ります。

石川氏の脚本は、浄瑠璃原文に忠実ながら、歌舞伎用に長い年月練り上げられた、歌舞伎版演出も適所に取り入れ、また、花組芝居役者陣の身体の有り様も考慮したものになっています。しかもそれらを満たしながら、(おそらく)二時間半に短縮されています。

対する稽古場では、大歌舞伎を参考にしながら、粗目(ざらめ)で作った駄菓子のような、コッテリタップリな演技を、見終わってスッキリ爽やかな気持ちでお帰り頂けるような演出で、全体をアレンジ出来ればと考えています。

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【企画・制作】 花組芝居